Rush Ball 2015
Rush Ball★R
5月9日、『RUSH BALL』のプレイベントである『RUSH BALL☆R』が今年も大阪城野外音楽堂で開催。
チケット代金は830円と破格な上、出演はasobius、Awesome City Club、HOWL BE QUIET、RAZORS EDGE、Rhythmic Toy World、SOUL FLOWER UNION、WANIMA、愛はズボーン、ザ・チャレンジ、密会と耳鳴りと、なんと10組も出演!!
恒例のMCの大抜 卓人(FM802 DJ)とGREENS スタッフ井上が登場し、まずは今日のイベントのインフォメーションから始まったRUSH BALL☆R。
若手からベテランまで揃ったイベントは朝から夜まで、気持ちの良い音楽にどっぷり浸かりっ放しな1日となった。
トップバッターは大阪・アメ村発の4人組、愛はズボーン! 「朝イチやし、体操しよか~♪ 声出していくで~」と、 『まさかのイマジネイション』でスタートしたライブは初っ端からぶっといリズムでオーディエンスの体を目覚めさせていく。
彼らのライブでは恒例の風船をぶちまけながら(いつもより量多め!!)、座席なんて関係ない!! と次々に会場を煽っていく。
続く『ひっぱられる』の、くすりとにやけさせるリリックとキャッチーなメロ、芯を突くリズムは実に爽快だ♪
しかし、トップバッターということもあってか会場の空気はまだまだ温まりきってはいないのか、様子見で眺めるオーディエンスもチラホラ。するとすかさず渇を入れるかのように、アッパーなオルタナサウンドを持つ『ニャロメ!』で起爆剤を置き、ラストはバンド名をまんまタイトルにした『愛はズボーン』へ。
豪快なサウンドでクールにシメて終わると見せかけて終わらない、延々と続く大阪らしいボケとツッコミのような音の連続に、オーディエンスはみな彼らのステージに夢中になっていた。
SET LIST
続くAwesome City Clubは、先ほどのステージとは一転! 小雨をはらみ湿り気のある空気を払うように、軽やかで透明感あるサウンドで魅せてくれた。1曲目『Lesson』、atagi(vo&g)のウィスパーボイスが会場全体を包み込むと、続く『4月のマーチ』では「自由に楽しんでください♪」と、PORIN(vo&syn)の浮遊感ある歌声にボトム強めのリズムがマッチしたサウンドでオーディエンスを揺らしていく。
4月にリリースされたアルバム『Awesome City Tracks』を中心に構成された今回のステージ。
「レコ発ライブがないけれど、今回のステージをレコ発ツアーの気持ちで。短い時間だけど楽しんで 音に塗れた最高の1日にしよう♪」と、『It’s so fine』から上昇感強めの緻密に構成された上級サウンドでオーディエンスを躍らせる。
そしてラスト『涙の上海ナイト』でシンセを前面に打ち出しバンドの世界観たっぷりに魅せ、全6曲のステージが終了した。
SET LIST
3番手は紅一点のガールズバンド・密会と耳鳴り! ボディコンシャスな衣装を身にまとい、勢いをつけてステージで飛び跳ねるよね(b)が雨で濡れたステージでずっこけるハプニングがありつつも、タイトルからしてインパクト抜群の1曲目『抱かれたい女と抱きたい男』から女の狂気を音に変え、観る者を一瞬で惹きつけるパワフルなステージングを披露する。「チャラチャラした男を撲滅するための呪文!! 悪霊退散!!!」と、会場全員でコール&レスポンス、さらにステージを降りてオーディエンスにガシガシと絡んでいく姿は衝撃的で目が離せない。
荒々しくも熱量の高いパフォーマンスで『嫌い』『正義とは悪』と、次々に楽曲を披露。MCでは、「高校生時代からイベントに参加し、いつか自身もステージに!!」と念願のRUSH BALL☆R出演だったと語る。
その喜びをパワーに代え、『ディスコ』ではキャッチーなサウンドに女の毒気を混ぜ込み、これでもかとバンドの魅力を振りまいていく。全5曲、オーディエンスを巻き込みながらしかとバンドの存在感を印象つけるステージングを見せてくれた。
SET LIST
イベントも中盤に差し掛かるころ、SOUL FLOWER UNIONはただただ純粋に音楽の楽しさを感じさせてくれた。豪気に一発ドカーンと音を鳴らし「人生は途中だ~! 共に生きよう~♪」と、1曲目『荒れ地にて』でライブスタート。
土着的な、思わず踊りたくなるサウンドはもう楽しい!! の一言でしかない。続く『風の市』、エイサーを踊りながらビールを煽るオーディエンスら。
大ベテランの出演は若手アーティストにとっても興味津津。ステージ袖からも大勢のバンドマンが顔をのぞかせている。驚くことに、バンドが登場した瞬間に雨は降り止み、太陽さえ顔をのぞかせていたのだ♪
ドラムやベース、ギターにちんどん…すべての音が心地良い。『月光ファンファーレ』『海行かば 山行かば 踊るかばね』と生命力あふれるサウンドでオーディエンスを躍らせ、ラスト『満月の夕』へ。心に響く音、言葉が深深と身に染みていく。すべての音が鳴り終わった頃、多幸感にあふれたファンの表情はとても美しいものだった。
SET LIST
5番手、東京発の4人組ピアノロックバンド・HOWL BE QUIETが物憂げで緩やかな音世界を見せてくれた。1曲目はさっそく新曲で竹縄航太(vo&g&p)のフラットな歌声とピアノの音色が、会場の空気をすっと涼やかにしてくれる。
次曲『ステレオライダー』は、ドラマティックかつ緻密な音作りで世界観を紡いでいく。3曲目『GOOD BYE』では、小さな小さな部屋で集中して音を聴いているような、野外の会場とは思えないほど繊細な音が会場を包んでいく。かと思いきや、次曲『孤独の発明』からバンドのテンションがテンポアップ♪ 徐々に上へ上へと昇っていく感情は心地よく、降りしきる小雨さえ気持ちよく感じてしまう。
ラスト『From Birdcage』、開放感あるバンドサウンドが柔らかな空気をまとい、オーディエンスをゆったりとバンドの世界へと引き込んでいく。音が鳴り終わる頃、なんともいえぬ穏やかな気持ちになっていた。
SET LIST
イベントも折り返しへ。『RUSH BALL☆R』初出演だけでなく、野外音楽堂でのライブも初めて。しかも今回のライブがバンド700回目の記念すべきステージだという、これまたベテランのRAZORS EDGEが豪快なパンクロックで会場を揺さぶった。「パンクロック始めるぞ!!」と、1曲目『SONIC!FAST!LIFE!』から圧倒的なスピード、音圧で攻めていく。野外音楽堂のステージ前方のイスや柵を動かしてあっという間に会場をライブハウスに変えてしまった。
さらにKENJI RAZORS(vo)がダイブ!! そこからはもう破竹の勢いでステージが進んでいく。「オメーら、最高だ!!」とメンバーに言わしめるほどにオーディエンスも一緒になってダイブ&モッシュで応戦する。『MAGIC NUMBER』『Ugly Kid』など次々に極上のパンクサウンドを打ち放つと、ラスト『MORE SOUL FOR BEAT』ではステージを飛び出し、会場後方の芝生エリアへ突入!! KENJI RAZORSとオーディエンスが一緒になってサークルモッシュにダイブで大暴れ♪『RUSH BALL』名物の砂埃がまさかの野外音楽堂でも発生する楽しいハプニングでステージが締められた。
SET LIST
続く7組目、RAZORS EDGEからこうもステージが変わるものかと驚かされるほど、asobiusがファンタジー映画を観ているような美しい音群を聴かせてくれた。
リハーサルから気合十分に会場を温めると、1曲目『ultrarium』からアグレッシヴなサウンドに甲斐一斗(vo)のクリアーな歌声を乗せていく。
その場の空気をあやつるように、甲斐はタクトを片手に会場の雰囲気をバンドの世界観へとじっくりと引き込んでいく。続く『magic』、”何かが始まるような”ワクワク感のあるサウンドに魅せられ、イベントも後半に向かい疲れが見え始めたオーディエンスらにふわりとした笑顔を取り戻してくれる。
5曲目『window』では、強固なリズムが地を這うように響き、物語をめくる様に音世界が少しずつ表情を変えて進んでいく。
緻密に作り込まれたメロディーがすっと体に沁み渡るようだ。そしてダンサブルな『starlight』に続き、最終曲『大停電の夜に』へ。
「本当にありがとう!!」、会場に集まったオーディエンスに何度も何度も感謝の気持ちを伝え、その思いを音に代えていく彼ら。色彩豊かに様々な景色を音に代え、全7曲を魅せきった。
SET LIST
8組目のRhythmic Toy Worldは2年連続『RUSH BALL☆R』出演とあって、安定感あるステージングでオーディエンスを楽しませた。
『波紋シンドローム』から始まったステージ、弾けたサウンドと妙に癖になるメロを披露したかと思うと、続く『いろはにほへと』は、軽快なリズムでオーディエンスを次々に躍らせる。
底抜けにハッピーな楽曲が続くと思いきや4曲目『メッセージ』。「大切な人へ向けて…」と、野外の会場にぴったりと合う、空に音を届けるようゆっくりと優しく言葉を紡ぎ大切に音楽を綴っていく。そして次曲『とおりゃんせ』は、さきほどまでの優しい世界観から一転、スピード&テンションアップで突き進んでいく楽曲に驚かされる。
骨太なリズムが体の正面にぶつかり、ビリビリと響くのがなんとも気持ち良い♪ ラスト『フレフレ』まで一気に突き進み、全6曲が終了。続くザ・チャレンジへとバトンを繋いだ。
SET LIST
残すところあと2組、最後の出演者に向けて体力温存…なんて甘い考えを持ってしまった観客に真っ向から勝負を仕掛けたのがザ・チャレンジだ!!
全身黒ずくめにサングラス、ぱっと見はなんともクールと思いきや、抱腹絶倒、痛快、爽快…とにかくオモロイ!! の一言に尽きるステージングは初めて観るオーディエンスもすぐさま夢中になるほどだ。1曲目『キラキラ』、ポップでキャッチーなサウンドに全員で振り付けしながら踊りまくる♪
続く『マイガール』、キッチュでスイートなメロに大人仕様の本格的なバンドサウンドが癖になる。笑えるだけでなく、緻密に計算されたバンドサウンドがあってこそ彼らの魅力なのだろう。30歳オーバーはタイトルで思わずクスリとなってしまう『LOVEってる』、なんとも懐かしい90年代アイドルサウンドを今仕様にアレンジした楽曲は一度聴くだけですぐハマってしまう。
沢田チャレンジ(vo)自身がミラーボールになって会場を盛り上げる『花金ダンス』、ライブを見ているのにもういつまでたっても笑いが止まらない♪ 気がつけばあっという間にステージは終了してしまった。
SET LIST
音で溢れた1日を締めくくるのはWANIMA! リハーサルからモンゴル800やハイスタをコピーし、会場のテンションを上げていく。
1曲目『Hey Lady!』から始まったステージには、待ちわびたオーディエンスが早々にダイブを決め込んでいく。豪気でハイテンションなサウンドにキャッチーなメロ、文句なしに”楽しい!!”と叫べてしまう楽曲に魅せられてしまう。
3曲目『1CHANCE』、ぶっといレゲエサウンドにメロコアサウンドにスカもミックスし、夏感の凄まじいインパクトある楽曲をぶちまけると、会場の熱量はもう最高潮だ。
8時間近く音を浴び続け、どこに体力が残っていたのか? 会場前方から芝生エリアまで、モッシュやダイブで自由に楽しむオーディエンスの笑顔までもが最高にかっこよく見える。
熊本弁全開のMCでは愛嬌たっぷり、「よかね~♪」なんて言いながら、新曲ではちょっとばかりエッチなリリックで会場全員をニヤりとさせる。
その後もバンドの勢いは止まらず、7曲目『1106』まで突き進み本編は終了。アンコール 『Thanx or Hey Lady』も、会場使用時間ギリギリまで爆音を響かせ、全10組のステージが終了した。
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