LIVE REPORT
RUSH BALL 2011RUSH BALL R
真空ホロウ
午前中に降っていた雨が奇跡的に止み、曇天の中での開幕となった今年の『RUSH BALL☆R』。そんな大阪城音楽堂のステージにトップバッターとして現れたのは、茨城県出身の3ピースバンド、真空ホロウだ。

不安定な天候、さらには会場に詰めかけたオーディエンスに宣戦布告をするかのようにガツンと音を鳴らし、初期衝動に満ちた『サイレン』を挨拶代わりにぶっ放す。そして、「パーティを始めましょう」(vo&g・松本)と間髪いれずに、ライブで定番になりつつある『闇に踊れ』へ。ベースラインと小気味いいドラムのハイハットに合わせて自然とハンドクラップが広がる中、憂いを帯びたエモーショナルな歌声、妖艶なサウンドが会場を侵食していく。

そんな繊細かつ緊張感溢れる音世界から一転、MCでは「大阪、マジあったけーね……気温じゃなくて、ひっと(人)!」と(笑)、楽しくてたまらないといった表情の村田(b)が茨城弁全開で、ご当地ネタを交えたほのぼのトークを展開! サウンドとのギャップに思わず会場からも笑いと温かな拍手が起こる。もっと彼らを観ていたい――そう思うも、残すはあと1曲。ギターのアルペジオが印象的な『被害妄想と自己暗示による不快感』を奏で、残響が鳴り響く中、強烈な印象を残して約20分にわたる濃厚なステージを締めくくった。
- Set List -
M1.サイレン
M2.闇に踊れ
M3.グライダー
M4.被害妄想と自己暗示による不快感

真空ホロウ

真空ホロウ

真空ホロウ

真空ホロウ

真空ホロウ

pagetop

秀吉
真空ホロウの余韻が残る中、続いて登場したのはインパクト大のバンド名を持つ3ピースロックバンド、秀吉(vo&g・柿澤の本名!)。昨年、宮崎あおい主演映画『ソラニン』の挿入歌に抜擢されるなど、ロックシーンでジワジワと注目を集めているバンドだ。

「普通のことを、真剣に歌に込めてやってきました」(柿澤)の言葉通り、メッセージ性の強い楽曲を柔らかで透明感ある歌声と卓越したメロディライン、クリアなサウンドで会場の隅々まで届けていく。

「この場所で出逢えた奇跡に……というよりは、目の前にいるあなたに感謝したいです」(柿澤)と始まったのは、ハートフルかつ彼らの想いが詰まった『ピノキオ』。その真っすぐで力強い歌声に、オーディエンスもじっくりと聴き入っているよう。8月3日(水)にリリースされるニューアルバム『くだらないうた』の告知、そして、ツアーでの来阪を約束した秀吉。ラストは、パワフルで疾走感溢れる『夕の魔法』で、爽やかにステージを駆け抜けて行った。
- Set List -
M1.きたない世界
M2.信じなきゃ
M3.ピノキオ
M4.夕の魔法

秀吉

秀吉

秀吉

秀吉

秀吉

pagetop

サカモト教授  [転換アクト]
秀吉のあとは、ステージ転換アクトとしてサブステージにサカモト教授が初登場。マント姿に頭にファミコンを乗せ、以降もところどころでとある世代には懐かしい『スーパーマリオブラザーズ』などのゲームミュージックの数々を披露。最終的にはファミコン世代以外も巻き込み、音に合わせて踊る人もチラホラ。イベント全体の潤滑油的役割を見事に果たし、何度も会場を盛り上げてくれた。この日の影のMVP!?
- Set List -
転換1
「ドラクエ3」
転換2
「グラディウス」
「グーニーズ」
「悪魔城ドラキュラ」
転換3
「スーパーマリオブラザーズ」
「スーパーマリオブラザーズ3」
転換4
「SAMURAI」

サカモト教授

サカモト教授

サカモト教授

サカモト教授

pagetop

The SALOVERS
そして、3番手としてステージに現れたのはThe SALOVERS。10代バンドの登竜門的ロックフェス『閃光ライオネット』にて審査員特別賞を受賞し、一躍脚光を浴びた若きロックバンドだ。荒々しい衝動に満ちた『サリンジャー』でオーディエンスを揺らすと、畳み掛けるようにゴツゴツとしたロックチューンを炸裂させていく。

「大阪はときどき来るんですけど、その度によく思うのが知らないバンドなのに踊ってくれるのがすげー嬉しいです。でも、今日はいつもより反応が悪い気がするんですけど……(笑)とか言いつつ次は静かな曲をやります」と古舘佑太郎(vo&g)が観客を煽りながらも聴かせる『夏の夜』へ。若手バンドには見えないほど、貫録のある堂々としたライブパフォーマンスには脱帽するばかり。と同時に、これからどんなバンドへと進化を遂げるのかが楽しみでならない。

最新アルバム『バンドを始めた頃』に収録されている楽曲を中心に、熱く、そして飄々としたステージングで、オーディエンスにその存在感を示していた。
- Set List -
M1.サリンジャー
M2.狭斜の街
M3.Hey My Sister
M4.夏の夜
M5.サイケデリックマリー
M6.SAD GIRL

The SALOVERS

The SALOVERS

The SALOVERS

The SALOVERS

The SALOVERS

pagetop

another sunnyday
会場にSEが流れ出した途端、“待ってました!”とばかりに歓声があがったのは、この『RUSH BALL☆R』が大阪初ライブとなるanother sunnyday。ストレイテナーのサイド・プロジェクトとして、ナカヤマシンペイ(ds)、大山純(g)が、”わかりやく、楽しく、脳にストレスがかからないバンドを創る”をテーマに掲げ、’09年に始動したロックバンドだ。

黒の衣装で統一された4人がステージに立ち、否応なしに期待が高まる中、『Sunnyday』でライブはスタート! カラっとしたシンプルながらも厚みのあるバンドサウンド、アグレッシブなプレイは、各人のミュージシャンとしての経験値を感じさせる貫禄。そんな心地よいグルーヴ、グッドメロディに合わせて、会場はさらに熱を帯びてくる。

「危うく名前負けしそうだったけど、ギリギリ降らなくて良かったです(笑)」とナカヤマが喜ぶも、途中から雨がポツポツ…! しかし、そんな雨もなんのその!の骨太で疾走感溢れるサウンドに乗って、雨合羽をまとったオーディエンスが拳をあげ、跳びはね、思い思いにanother sunnydayの音楽を満喫する。新曲『Cast off skin』も披露され、ファンにとっても大阪初ライブは大満足だったに違いない。
- Set List -
M1.Sunnyday
M2.Spinning
M3.Ganache
M4.Human Lighting
M5.Cast off skin
M5.Feather

another sunnyday

another sunnyday

another sunnyday

another sunnyday

another sunnyday

pagetop

SpecialThanks
そして、次の出演者として登場したのは、1stフルアルバム『SEVEN LOVERS』を携えた全国ツアーで全ヵ所雨(!)という雨バンド……ならぬポップパンクバンド、SpecialThanks。その威力をいかんなく発揮したのか(!?)、彼らのステージが始まる直前くらいから本降りになったため、客席はカラフルな雨合羽で出迎えることになった。

しかし、ライブが始まってしまえば、雨なんて関係なし!! ポップでメロディックなサウンド、今年の『RUSH BALL☆R』で唯一の女性ボーカル・Misaki (vo&g)のキュートな歌声で、瞬く間にオーディエンスのハートをギュッとつかむ。その証拠に、「オレらになって急に本降りになってきたね。雨なんかに負けないよね? 楽しめますか? 元気ですか?」(g・Sean)の問いかけには、会場からもちろん!とばかりの大歓声が。これに応えるかのように、メンバーもハツラツとしたライブパフォーマンスで楽しませてくる。歌をしっかりと味わえる『Anything』などを挟み、あっという間に30分のステージは終了。ハッピーな余韻が残る中、名残惜しそうに舞台袖へと去っていった。
- Set List -
M1.HELLO COLORFUL
M2.YOU=MUSIC I LOVE
M3.How are you?
M4.MY SONG
M5.Anything
M6.Mr.Donut
M6.POWERPOP

SpecialThanks

SpecialThanks

SpecialThanks

SpecialThanks

SpecialThanks

pagetop

Sawagi
小雨が降る中、そんな気分を吹き飛ばすSEが…、スティクスの『ミスター・ロボット』! “ドモ アリガト、ミスター・ロボット♪”と歌われる軽快な四つ打ちリズムに合わせ、お揃いのメガネをかけてSawagiが登場。「大阪~!」というシャウトと共にコイチ(key)の鍵盤がゴキゲンなメロディを鳴り響かせる。SEからの流れを見事に汲んだ、そのサウンドで客席は一気に盛り上がっていく。

「雨なんかに負けてたまるか! 一緒に踊ろうぜ!」と宣言された『HYPER RESCUE』では、ギターのワイルドなカッティングに心地よいエレクトロサウンドが重なり合い、客席は完全に彼らのペースに。雨を完全に忘れさせてくれた頃に、「雨っぽいしっとりとした曲」として『MOTOR POOL IS NOT DEAD』が披露され、さっきまでの興奮を抑えるかのごとく、ゆらりゆらりと客席が揺れる。

ラスト2曲はその反動のようなハイボルテージで、客席に手拍子を煽り、まるでその手拍子が楽器の一部のようにすら聴こえてくる。最後は彼らと共に客席も全員ジャンプ! 日が暮れてゆく後半戦に、素晴らしいスタートを切ってくれた。
- Set List -
M1.中華
M2.HYPER RESCUE
M3.ibiza
M4.MOTOR POOL IS NOT DEAD
M5.SUPER CITY
M6.Panda

sawagi

sawagi

sawagi

sawagi

sawagi

pagetop

group_inou
サカモト教授がサブステージで『ファイナルファンタジーⅢ』のゲーム音楽を再現する中、雨はそんなことなどお構いなく降り出していく……。そして、そんな雨を一切気にすることなく登場したのはgroup_inou。トラックメーカーのimaiが、それこそ豪雨のように襲い掛かるグルーヴを生み出し、それに合わせMCのcpが体をくねらせる独特のリズムで言葉を次々と乗せていく。imaiのトラックは変幻自在という言葉がピッタリで、時には叙情的なサウンドをも響かせる。

激しい雨の中、MCではかつて夏フェスの特集雑誌のオフショットで、各バンドのフロントマンと共に自分が写りこんだ写真が載ったのを、地元の本屋で見て「ゾッとした!」と自虐的に話すimai(笑)。客席もほっこりしたところで始まった『QUEST』では、音圧がより増した感覚がする中、会場も徐々に熱を帯びていく。imaiもMC時とはうって変わり、頭を振り乱し全身全霊でトラックを操る。

終盤には少し落ち着きかけていた雨がまた急激に降り出すも、彼らのパフォーマンスの勢いは止まることなく、最後まで客席を熱狂の渦に巻き込みまくったステージだった。
- Set List -
M1.SHIP
M2.COMING OUT
M3.QUEST
M4.MAYBE
M5.THERAPY
M6.(新曲)
M7.RIP

group_inou

group_inou

group_inou

group_inou

group_inou

pagetop

avengers in sci-fi
激しい雨の中でも入念にセッティングを行ない、満を持してステージに登場したのはavengers in sci-fi。ライブハウスなどの屋内でのライブでは一瞬で、その場をスペイシーな空間に変える3人。音と光のハーモニーを武器とする彼らが、普段とは異なるシチュエーションの雨の野音で、どんなアクトを見せてくれるのか!?

「思う存分、濡れていってください!」と客席を煽り、メンバー自らも濡れたステージに膝からスライディングするなど、この環境を楽しみ、乗り越えようとする気概をヒシヒシと感じる。その気概が伝わったのか、客席後方の芝生エリアではサークルモッシュでオーディエンスが応え、その洗練されたサウンドは、アグレッシブな風味をスパイスに、ハッピーな空間を作り出す。5曲目の『Homosapiens Experience(Save Our Rock Episode.1)』では「Save Our Rock」という歌詞がヴォコーダーかかったエフェクトボイスで歌われ、胸に響く。雨を必死でぶっ飛ばそうとする彼らの気迫に、客席も奮い立たされていくよう。

ラストは、最高のダンスチューン『Delight Slight Lightspeed』! 雨というピンチを完璧に乗り切った彼らは、BIGMAMAへと最後のバトンをしっかりと受け渡した。
- Set List -
M1.Cydonia Twin
M2.Universe Universe
M3.Nayutanaized
M4.Beats For Jealous Pluto
M5.Homosapiens Experience
  (Save Our Rock Episode. 1)
M6.Delight Slight Lightspeed

pagetop

BIGMAMA
もはや豪雨が当たり前にすらなってきた過酷な環境の中、陽が落ち、照明が神秘さすら感じさせる壮大な空間を演出。しょっぱなの『荒狂曲“シンセカイ”』から、ギターとバイオリンのシンフォニーを心地よく響せたのは、本日の大トリであるBIGMAMA! 続く『I Don’t Need a Time Machine』では、まるでジプシーミュージックのようにバイオリンがうねり、場内を熱狂の渦に早くも巻き込む。「オイオイオイオイ!」という客席からのコール&手拍子が、雨音を打ち消すくらいに大きくなっていく。

金井(vo&g)もMCで、「こんな雨の中残ってくださった皆さんは、宝物です。全力を尽くして、最高のトリにします!」と高らかに宣言。観客への最高の感謝を感じた上で、「ミュージシャンお前らがんばれ!」と自身に渇を入れる金井。彼らの誠実さが滲み出たシーンでもあり、多くのキッズたちに支えられている理由がわかった気がした。

ラストの『計算高いシンデレラ』では、クラシックの名曲がバイオリンによって、サンプリングかの如く織り込まれ、より幻想度を増していく……。お客さんのコーラスで雨の野音は包まれ、今年の『RUSH BALL☆R』はドラマチックに幕を閉じた。
- Set List -
M1.荒狂曲“シンセカイ”
M2.I Don't Need a Time Machine
M3.the cookie crumbles
M4.Paper-craft
M5.かくれんぼ
M6.秘密
M6.計算高いシンデレラ

BIGMAMA

BIGMAMA

BIGMAMA

BIGMAMA

BIGMAMA

pagetop

RUSH BALL © COPYRIGHT GREENS CORPORATION. ALL RIGHTS RESERVED.