LIVE REPORT

RUSH BALL 2017 day2

RUSH BALL 2017 day2 終了しました。
ありがとうございました。

  • RUSH BALL 2017

Ivy to Fraudulent Game [Closing Act/ATMC]

 2日間に渡って開催されたRUSH BALL2017、Closing Actとして最後のステージを締めくくるのがIvy Fraudulent Gameだ。メインステージでのサカナクションのステージが終わり、毎年恒例の花火が打ち上げられると穏やかなSEが流れ、静かな気持ちはそのままに『夢想家』からライブがスタート。深層に染み込むような、ゆるりとした音色は心癒すようで、観客はただ静かに彼らの音に身を委ねている。

 寺口宣明(gt&v)は「帰んないということは、まだ足りないということだと思います。満足させて帰らせます!」と、先ほどまでの温和な出で立ちから一転、荒々しく吠え『青写真』へ突入していく。荒ぶるサウンドが鳴り響くなか、寺口は不敵な笑みを浮かべ「起きてるやつ、手上げろ!」とオーディエンスを挑発。その言葉を待ってましたとばかりに、『アイドル』では大島知起(gt)の歪んだギターがうなり、カワイリョウタロウ(b)の感情から震わすような重厚なリズムが鳴り響く。

 この時点でまだ3曲目、このバンドはどこまで多彩な表情を持ち合わせているのだろうか。今年も開催されたRUSH BALL☆Rからの出演となった彼ら、すでにRUSH BALLファンにはなじみがあるのかもしれないが、初めて彼らの音に触れる者は皆、次にどんな音が鳴らされるのか、前のめりになって聴き入っている姿が印象的だ。

 「最後のバンドだけど、止まって観てくれてうれしい」と感謝の気持ちを告げる寺口。しかしここで驚きの告白が! 実は会場到着後にギックリ腰になってしまったらしく、直前のサウンドチェックでも激痛が走っていたとか。それでも本番では痛みを忘れ、夢中になってステージに立てていることに幸せを感じると語る。そしてそのままラスト曲へ流れることを告げると、会場からは惜しむ声があちこちから聞こえる。「朝までやろうか♪」とご機嫌に答えつつ、『青二才』へ。曲が始まる前には人生に、音楽に懸ける思いを熱く語る寺口。楽曲は青臭いほどに正直な思いを吐露し、福島由也(ds)の鼓動を打つようなリズムがより楽曲に臨場感を与えていく。

 そしてライブはアンコールを求める声に応え、急きょ『E.G.B.A.』を披露。重量感のあるサウンドの中、複雑なメロディが交差する楽曲はなんとも言えぬ興奮を煽り、全5曲と短い時間ながらも2日間をまとめるClosing Actとして豪快に突っ切り、ステージの幕が閉じた。


text by 黒田奈保子
photo by Yukihide"JON..."Takimoto

SET LIST

  • 01. 夢想家
  • 02. 青写真
  • 03. アイドル
  • 04. 青二才
  • E1. E.G.B.A
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サカナクション

 いよいよ『RUSH BALL 2017』ラストを飾るサカナクションがメインステージへ!3年ぶりの登場で、トリを務めるのは2013年以来ということで、会場の期待感もMAXに。両手で三角形を作る“サカナトライブ”の△マークがあちこちで掲げられるとピアノの調べとともにメンバーが姿を現した。「僕たち私達サカナクションです」と山口一郎(vo&g)が叫ぶと、グリーンのレーザー光線で“sakanaction”“新宝島”の文字が浮かび上がり、大歓声とともに幕開け感のあるシンセのイントロが鳴り響く。序盤からグルーヴの渦に観客を巻き込みながら、容赦なく踊らせていく。

 『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』では、「まだまだ踊れるか!?」とギターを置き、ダンスでみんなをサカナワールドへいざなっていく山口。「もうすぐ夏が終わりますが、思い残すことなく、自分のステップで自由に踊りましょう!」とインストのジャムパートになだれこみ、巨大なダンスホールと化した泉大津。夜なのにフィールドには熱気が渦巻き、吹き抜ける風も演出の一部のよう。ベース、キーボード、ギター、ドラムソロで魅せたあとは、ビジョンに月や銀河の流星が映し出され、夜空と一体となった感動的な景色が目に飛び込んでくる。巨大なVJをバックにラップトップの5人が並び、『SORATO』『ミュージック』がスリリングに展開され、一時も目を離せない。電飾が施された山口の衣装にも歓声が上がる。暗転のあとバンドセットに転換される鉄板のながれや『アイデンティティ』のサビの叫びは、野外ライブではなくてはならないものに。バンドとクラブの両面を巧みに切り替えながら魅せるサカナクションのショーアップされたライブは、どこまでも進化を続けているのがわかる。

 『アイデンティティ』のラララの大合唱では「ありがとう!すごい景色!」と山口。最後は、最新シングル『多分、風。』で山口の黒いマントが風にたなびき、すべてを受け止めるかのように両手を広げる。「また来年の夏に会いましょう!」とステージをあとに。10周年を迎え、ネクストステージを予感させる熱演で『RUSH BALL 2017』の2日間を見事に締めくくった。


text by 岡田あさみ
photo by 田浦ボン

SET LIST

  • 01. 新宝島
  • 02. Aoi
  • 03. 『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』
  • 04. SORATO
  • 05. ミュージック
  • 06. アイデンティティ
  • 07. 多分、風。
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ポルカドットスティングレイ [ATMC]

 本番さながらのリハーサルで早くも存在感をアピールしていたのは、福岡発のギターロックバンド、ポルカドットスティングレイ。「盛り上がる準備…できた?」と問いかけた次の瞬間、雫(Vo.&Gt.)がまくし立て「シンクロニシカ」でステージの幕を開ける。ウエムラユウキ(Ba.)の激しいスラップに、キレまくったエジマハルシ(Gt.)のギター、芯を打つミツヤスカズマ(Dr.)のドラミングが生き物のように鳴り響き、重なっていく。テクニカルなプレイに、「すげっ!」、「うまっ…」と顔を見合わせながら声を漏らす観客も。

 鋭い楽曲から一転、今度はジャジーな「人魚」で雫の歌声がより艶やかに届けられ、夜のATMCをムーディーに盛り上げる。ここで一度暗転すると、つい先日にショートカットになったばかりの雫めがけて、「髪きれいーっ!」と黄色い声が飛ぶ。はにかみ照れ隠ししながら、「私が舞い上がっているのは『RUSH BALL』に初出演できたからです!」と素直に喜びもさらけだす。MCでは質問タイムが設けられるなど、どこか初々しく好印象。人柄が滲み親近感の沸くトークと、圧倒されるほど凄まじいライブの緩急には引き込まれる。

 注目を浴びるきっかけでもあり、MVが日々すごいスピードで再生回数(現在600万回以上)を伸ばしている『テレキャスター・ストライプ』では、フロアが激しく波打つ最高潮に。特大のコール&レスポンスも成功させたにも関わらず、まだまだ満足いかない様子でウエムラが「WANIMA先輩に負けないぐらい、でかい声だせるか!?」と焚きつける。ギンギンに高まりきった昂揚感のまま最新アルバム『大正義』からリード曲『エレクトリック・パブリック』を披露して、堂々たるステージで締めくくった。


text by 大西健斗
photo by 河上良

SET LIST

  • 01. シンクロニシカ
  • 02. 人魚
  • 03. テレキャスター・ストライプ
  • 04. エレクトリック・パブリック
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WANIMA

 絶大なる若者人気。そのイメージである。40歳を前にした私からしたら、その理由は何なのかを改めて考える機会であった。音楽雑誌などをめくると、”メロディーのスケール感”、”圧倒的なセンス”などと書いてあり、もちろん、その通りなのだが、やはりライブを観て色々と体感したい。

 SEで『JUICE UP!のテーマ』が流れて、いよいよOPENINGとなると、KENTA(vo&b)、KO-SHIN(g)、FUJI(ds)の3人が笑顔で走ってきて、カメラに顔を近づけたり、ジャンプをしたり、ステージの端から端まで全力疾走している。もちろん笑顔で。1曲目『いいから』の時点で、フロアには肩車をされた笑顔の観客も目立つ。とにかく、会場中、全員が頭からっぽにして心から楽しんでいる。

 「みんな色々あると思うけど、“大丈夫!”とか”がんばろう!”とか必要ない! ともに歌おう!」とKENTAが叫び、『ともに』へ。敢えてストレートに元気づけるのではなく、とにかく陽気にともにいる。それが出来るからこそ、絶大なる若者人気を獲得しているのだろう。結局は、元気づけられているわけだから。既に2曲目で全てが納得できた。一昔前なら、元気づけられて涙するという構図が頻繁に見られた。その構図は個人的に未だに大好きであるが、WANIMAは全く違う。正反対だ。元気づけられて陽気に笑顔でいれるというのは、現代のロックにおいて最先端である事は間違いない。

 『オドルヨル』ではフロア最後方のごみ捨て場担当スタッフがステージに背中を向けているのに、笑顔で踊っている。全体の雰囲気を感じたくて、ノート片手に演奏中35分ずっと移動しながら観たのだが、飲食店ブースの人たちが店の前にわざわざ出て、笑顔で歌っているのが目立った。働く事すら忘れさせるパワー。もはや”WANIMA現象”である。

 続く『THANX』では、「あ〜りがとう〜!」と会場中の全員が大熱唱。歌詞を全て読むと、そこには憂いも含まれているのだが、良い意味で憂いをぶっ飛ばすエネルギーがライブにはある。何よりも驚いたのは、曲途中でKENTAが「毎日毎日、お疲れ様です!」と笑顔で陽気に呼びかけた事。何、その気遣い?! そんなに優しくされたら、絶対好きになっちゃうでしょ…。

 「友達できた?! 落し物は大丈夫? お守りに歌います!」と再び笑顔で陽気に呼びかけて、『CHARM』へ。そして、最後は、一転して激しく畳み掛けるかのように『BIG UP』で〆られた。笑顔で陽気に優しく気遣いながら、しっかりと最後は鼓舞する。そりゃ、無敵だわと感心するしかなかった。


text by 鈴木淳史
photo by Yukihide"JON..."Takimoto

SET LIST

  • 01. いいから
  • 02. ともに
  • 03. オドルヨル
  • 04. THANX
  • 05. CHARM
  • 06. BIG UP
  • RUSH BALL 2017
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Shout it Out [ATMC]

 ステージ中央で円陣を組み、何も言わず音を出し始めた時点から、得も言われぬ予感がヒシヒシ。「大阪堺、Shout it Out始めます!」(vo&g・山内、以下同)との幕開けから、『青年の主張』『17歳』と立て続けに蒼き日々を歌い上げていく彼ら。溢れんばかりに伝わってくる、この季節にしかない宝物のような儚さと強さには、もう鳥肌が止まらない。“大人になんてなりたくない”と思っていた僕らは、否が応にも大人になっていた。でも目の前には、まだそれに抗える若きロックバンドがいる。全身全霊で想いを音にしたかのような『道を行け』でも、ソリッドなバンドサウンドでたたみ掛けていく。

 「今日、目の前にいてくれる君が、この夏に何の後悔も残さないようなライブをしに来ました」

 そんな山内の胸の内とともに、陽が落ちマーブル模様の景色を見せるマジックアワーに、心まで鼓舞されるような小気味いいビートに乗せて聴かせた『夜間飛行』、エッジィなブレイクで切りまくる『逆光』と、衝動をクールに爆発させるようなステージングを重ねていく。

 「今日はありがとうございました。地元のフェスに出られたのは嬉しかった。口もきかなかった同級生も観に来てるのかなと思ったり。そいつを見返すために音楽はやってないけど、いつかあっちに出られるように頑張ります。Shout it Outでした」

 『RUSH BALL』は彼らと同世代の20歳そこそこのオーディエンスも多いことだろう。一緒に次世代の『RUSH BALL』を作っていける、頼もしいバンドがついに初出演を果たしたこの日は、後に語り草になり得るか!? ラストに絶景を生み出した『青春のすべて』は、その予感を確信に変えるに十分な説得力で、ATMCに鳴り響いていた。


text by 奥“ボウイ”昌史
photo by Hoshina Ogawa

SET LIST

  • 01. 青年の主張
  • 02. 17歳
  • 03. 道を行け
  • 04. 夜間飛行
  • 05. 逆光
  • 06. 青春のすべて
  • RUSH BALL 2017
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THE ORAL CIGARETTES

 山中 (vo&g)の「『RUSH BALL』やるぞ!」という雄叫びで緊張感を生み出した1曲目は、彼らのメジャーデビューシングル『起死回生STORY』。おなじみのこの曲には全員がジャンプで、揺れるはずのない大地を揺らす。そしてファルセットのサビの歌声が瞬時に脳裏に焼き付いて離れない。さらに「もっともっといくぞ!」(山中)と煽り、このトップスピードをキープしたままで弾けるリズムからトリッキーに展開される『Shala La』、そしてダンサブルな『Mr.ファントム』へ。『Mr.ファントム』では、あきらかにあきら(b)と鈴木 (g)の2人が舞台を端から端へと駆け回り、ダイナミックなステージングを見せ付ける。彼らにかかれば『RUSH BALL』の大舞台も小さく見えてくるほどの存在感だ。

そしてそのハイテンションはMCでも。「『RUSH BALL』ヤバくないっすか? 正直死ぬほど気持ちいいんですけど(笑)」(山中)とビッグスマイル。さらに「関西なめられたらあかんで!」と大阪出身の郷土愛も見せつつ「ヤバい新曲持って来たんですけど!」と、9/27(水)発表のシングル『BLACK MEMORY』へ。いきなりイントロから中毒性の高いリフレインで耳と心を奪われ、ふと見上げたモニターには恍惚の表情を浮かべながら歌う山中の姿。そこにいるすべての人が“ORAL”の音世界に酔いしれる。加えて、今後は山中が舞台を走り回っての大サービス。ギターソロにも痺れさせられる。

ますます“ORALワールド”は膨張し、続く『カンタンナコト』では全員でヘドバン&シンガロングというライブのお楽しみがたっぷり。その様子に、山中も思わず“GOOD”のサインを出す。しかし「そんなもんか?」とさらに挑発。曲もパワフルかつスリリングな『狂乱 Hey Kids!!』で挑む。夕暮れになりライトがきらめき出し、4人がより絵になる時間帯。ファン垂涎の光景が広がる。

すると山中からも「後ろを向いて。もうちょっとで日暮れです。このまま夜になって照明があなたたちを照らし、さらにすばらしい景色が広がると思います」と甘い言葉が…。そんな空気感をまとい『トナリアウ』がついにラストの一曲としてスタート。湿度ある歌声、美しいアンサンブル、エモーショナルなメロディ。それらは夜の気配と混じり、何とも言えない感情を引き出してくれた。ハイカロリーかつ感傷的な彼らにしかできないアクトはまさに圧巻。また来年もぜひ『RUSH BALL』の舞台に帰ってきてほしいと多くの人が思ったことだろう。


text by 服田昌子
photo by 河上良

SET LIST

  • 01. 起死回生STORY
  • 02. Shala La
  • 03. Mr.ファントム
  • 04. BLACK MEMORY
  • 05. カンタンナコト
  • 06. 狂乱 Hey Kids!!
  • 07. トナリアウ
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Amelie [ATMC]

 西日が照りつけるATMC。サウンドチェック中には新曲が演奏されるなど、本番から集まったファンを前に、すでにノリノリの雰囲気。SEととともに元気いっぱいにメンバーが飛び出すと「こんにちは!Amelieです!」とピースマークでご挨拶。「RUSH BALL最高の時間にしましょう!最高の時間の合図は君が鳴らせばいいんだよ!」と鳴らされたのはロックキッズたちの新たなアンセム『君が為に鐘は鳴る』だ。オープニングにぴったりの爽快感溢れる清々しいナンバーにひきこまれる。「いくよー!」とMick(vo&g&p)がキーボードをかきならしながら、グイグイとのっけからアゲにアゲていく。直人(g)、あっきー(b)も躍動感あるリフを刻みながら、最前線に飛び出し煽りまくり!「最高の景色を作りたい!」と休むまもなくアッパーに盛り上げるライブバンドとしての底力は、初登場とは思えない貫禄と安定感で、この一体感はまさしくライブハウスのあの感じ!

 「最高すぎる景色をどうもありがとう!」とMCでは、2年前、先輩のライブを見に、RUSH BALLに来て以来、いつかは出たいと思っていた夢が叶ったと語るMick。「これからも一個づつ、夢を叶えるところを見せていくのでついてきてください!」とそのまま『ゼロじゃない』へ。そんなドラマチックなながれに胸がギュっとなる。

 いつもそばで支えてくれるスタッフ、メンバー、ファンへの感謝の気持ちをこめたというラストソング『ヒーロー』では、真摯な想いをぶつけるしっとりとしたイントロから爆発する展開がこのバンドの真骨頂。最後は “ありがとう”という想いを歌に込めパワフルに熱唱。芯の通った歌声が容赦なく照りつける夕刻の太陽に負けじと響く。ポップが弾ける堂々としたステージングに魅せられたあっという間の25分。これからも一歩ずつ夢を叶えていくんだろうと確信した頼もしいステージだった。


text by 岡田あさみ
photo by 田浦ボン

SET LIST

  • 01. 君が為に鐘は鳴る
  • 02. メグリメグル
  • 03. ゼロじゃない
  • 04. honey
  • 05. ヒーロー
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go!go!vanillas

 「今日、一番のでけぇー声を聞かせてくれよ!」と牧 達弥(vo&g)が口火を切って、『おはようカルチャー』でライブをスタート。キラーチューン「バイリンガルガール」、「ラッキースター」、「エマ」とフルスロットルで畳みかけ、4年連続出演となるgo!go!vanillasが会場の興奮の沸点をのっけからグングン突き上げていく。夕方になってもピーカン照りの野外で、革ジャンの“正装”でストイックにリズムを打ち鳴らすジェットセイヤ(drs)。ステージを縦横無尽に動き回ってアグレッシブにプレイする柳沢進太郎(g)と長谷川プリティ敬祐(b)。すでにギュウギュウ詰めになるほど大勢の観客が集まっているが、さらに多くの人に届けようと、メンバーそれぞれが生き生きとしたバンドサウンドを轟かせ、バニラズのステージに振り向かせようとロックオンしていく。

 「気持ちいいよ!」と息を切らしながら、興奮気味にMCを始めた牧。「1個先に出てたKANA-BOONと、この後に出るTHE ORAL CIGARETTESはずっと一緒に戦ってきた仲間で…。俺達はここまでくるのに時間がかかったけど、今日はみんなでバカ騒ぎしてオモシロいことができるんじゃないかと思っています!くしくも2組とも平成生まれのバンド。“まだまだこんなもんで終われねぇだろ!”って気持ちを込めて作った曲をやります」と切り出し、「平成ペイン」を披露。なにかと“平成生まれ”というだけで、あれこれ言われてきた世代にしか書けないリアルな感情のこもった歌詞。腹の底から込み上げる激情と、これから自分たちの世代が道を切り開いていくという覚悟がみなぎった楽曲で場を奮い立たせる。

 勢いは更に加速していき、観客となりふり構わずバカになって騒いだ「カウンターアクション」。ラストは「マジック」で、見渡す限りに拳が続々と突きあがっている圧巻の景色を生み出し幕を閉じた。目の前で鳴ってるロックンロールを楽しむ、純然たる喜びを教えてくれるようなライブだった。


text by 大西健斗
photo by Yukihide"JON..."Takimoto

SET LIST

  • 01. おはようカルチャー
  • 02. バイリンガルガール
  • 03. ラッキースター
  • 04. エマ
  • 05. 平成ペイン
  • 06. カウンターアクション
  • 07. マジック
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ReN [ATMC]

 ステージにふらり現れギターを爪弾けば、夢幻に音世界が広がっていくようなマジカルでフォーキーなステージで魅せてくれたのが、『RUSH BALL』初出演となるシンガーソングライター、ReNだ。「今日は短い時間ですが、精一杯歌います!」とのご挨拶の後は、しょっぱなの『Illumination』から足元のループステーションを駆使し、ギター、ギターのボディタップ、コーラス…と次々とフレーズを積み上げ、さらにそれを巧みにスイッチングすることで、何層にも折り重なるサウンドスケープを創り出していく。1人で全ての音を出しているとはまるで思えない光景に、普段はバンドのライブに足繁く通うであろうオーディエンスも、興味津々のご様子。

 また、「今日はカッコいいアーティストがいっぱい出てるけど、メインステージをブッ飛ばす勢いで歌いたいと思います!」と宣言した後は一転、メロウでスウィートな『What I’m Feeling』を披露。灼熱のライブが続く『RUSH BALL』に、一服の清涼剤的なチルタイムを演出する。

 「この中には、音楽があったから生きてこれたっていう人も多いと思います。僕もそうで、いつか自分が音楽から受けた力をみんなにも与えられたら…不安定な時代だからこそ、音楽が一番信じられる」

 そんな切なる想いを告げて放った『Lights』に、じっと聴き入る会場…。そして、「次は必ずデカいステージに戻ってくるんで、それまで僕のことを覚えていてください」と最後に届けたのは、最新アルバムの表題曲でもある『Life Saver』。ReNを観たのも初めてなら、ループステーションをここまで使いこなすライブを観たのも初めてなオーディエンスに、これ以上ない刺激的な初体験をもたらしたReNのライブだった。


text by 奥“ボウイ”昌史
photo by 河上良

SET LIST

  • 01. Illumination
  • 02. What I'm Feeling
  • 03. Lights
  • 04. Life Saver
  • RUSH BALL 2017
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KANA-BOON

 強烈な西日を浴び、谷口 (vo.&g)の「大阪帰ってきました。ただいま!」からライブは開始。日差しにも負けない強さで攻め込む『Fighter』と『ウォーリーヒーロー』の連射でいきなり圧倒する。4つ打ちで踊らせ、ドラマティックな曲展開でワクワクをマックスに。『ウォーリーヒーロー』の重なって一つになるバンドの音にグングンとテンションも上がり、大会場らしいハンズアップのウェーブも完成。これぞ『RUSH BALL』といった見事な眺めだ。

 早くも気分は最高潮といったところだが、そこは谷口が「次のgo!go!vanillasのジェットセイヤが、タンクトップにライダース着てて…。“そこやないねん!”って。古賀にも同じ匂いを感じる(笑)」と長袖の古賀を軽くいじって和ませる。

 …が、そこからまたアクセル全開! イントロから“キター!”の人気ナンバーで畳み掛ける。まずは彼ららしいキャッチーさとせつなさが入り混じる『バトンロード』。そして『ないものねだり』では、“ゆらゆらゆらゆら”のあのサビが頭の中をぐるぐる駆け巡り始め、恒例のコール&レスポンス、そして今日用の“ラシュラシュラシュラシュ”のアレンジバージョンも痛快にキマる。さらに谷口の「行くぞ!」の煽りから『フルドライブ』へ。ラップテイストのボーカル、ソリッドなギター、高速の4つ打ちというあの手この手の攻撃に会場は沸騰。その証拠に曲後もざわつきが収まらない。

 そんな観客を前に今度は谷口が今年前半を振り返って真っ直ぐに語り出す。さらに「この曲ができたおかげで、バンドして音楽と向き合っていこうというモードです。今は俺らの歌って感じやけど、こうやって人に聴いてもらう瞬間、皆の歌になればいいなと思います」と…。

 そしてそんな言葉から鳴り出したのは『それでも僕らは願っているよ』。どこか不安定な感情もかき立てるメロディは、やがて晴れやさを感じる曲調に。また一言ずつ思いを込めるような歌声も心に触れ、聴いているうちに顔を前に向けて進みたくなってくる。曲から力を与えられているのだろう。

 しかし、数々のビッグステージを飾ってきた彼らは、今回もきっちりと観客の“スッキリ”をお約束。スピード感を持って突き進むKANA-BOON印のキラーチューン『シルエット』を最後にプレイする。もちろん会場は再び“キター!”の態勢からのクラップで昇天。大いに解き放たれてKANA-BOONを余すところなく味わい尽くした。


text by 服田昌子
photo by 田浦ボン

SET LIST

  • 01. Fighter
  • 02. ウォーリーヒーロー
  • 03. バトンロード
  • 04. ないものねだり
  • 05. フルドライブ
  • 06. それでも僕らは願っているよ
  • 07. シルエット
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POT [ATMC]

 「リハーサルからみんなで手上げたら、楽しいと思うけどな~。ATMCで砂ぼこりを巻き上げられるのは僕らだけやと思います! リハから楽しんでいきましょう」と、RUSH BALL初出演のPOTはサウンドチェックからオーディエンスと一緒になってライブを楽しんでいる♪ そして待ちに待った本編、EARTH,WIND&FIREの『September』をSEにご機嫌に登場したメンバーは1曲目『Sunday』からテンション高いライブで盛り上げていく!

 よしくん(vo&g)、よっぴー(vo&b)、織田(vo&g)の3人による、フロントマン3人がかわるがわるメインボーカルを務める、ほかにはないスタイルでライブを展開する彼ら。矢継ぎ早に繰り出される歌声はポップだったり、少年性を残していたり、太く厚みのある歌声だったりと、個性が次々に顔を出してくるので観ているこちらも気を抜く暇がなく、彼らのライブに追いていかれないようにと食い入るように見入ってしまう。

 「最高って言って帰ろうぜ!」と、『DANCE FEVER』『I scream fuck’n day』と底抜けにハッピーなナンバーを投下! と、思いきや「輪っかがちっちゃいぞーー! ‘17年ATMCの本気見せてくれー」と音を止めてビシリと一言。すると、これでもかと大きなサークルを作りあげられ、オーディエンスも彼らの音に応えていく。初出演にしてこの関係性、これから続くステージにいやがおうにも期待が高まってしまう♪

 『SYAKUNETSU BEAT』『COOUNTDOWN』と続き、ステージはあっという間に最終曲へ。最後のMCでは、8年前にRUSH BALLに観客の1人として参加していたこと、憧れのステージに今こうやって立てていること。そして、人生を生きる上で後悔することなく生きてほしいとこの日のステージに懸ける想いを語り、『YOLO』へ。スピードはさらに増したものの、想いを込めたリリックがびしりと心に刺さっていく。ステージを去る間際、「また遊ぼうぜ!」と言葉を残した彼ら。これから続くライブハウスでのステージはもちろん、また来年のRUSH BALLでも彼らの姿を観られたらと願って止まないのは私ひとりではないだろう。


text by 黒田奈保子
photo by Hoshina Ogawa

SET LIST

  • 01. Sunday
  • 02. EPIC
  • 03. I scream fuck'n day
  • 04. Hustle Carnival
  • 05. SYAKUNETSU BEAT
  • 06. COUNTDOWN
  • 07. YOLO
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SiM

 2013年の初登場以来、5年連続の出演となるSiM。昨年はトリを務め、毎年その熱量を更新し続ける彼らがどんなライブを見せてくれるのか。期待感を煽るSEが鳴り響くとSIN (b) 、GODRi(ds)、SHOW-HATE (g)が登場!楽器を構えてキメたポーズの美しさに胸が熱くなる。ヴォー!!と灼熱の空気を揺らす歓声があがると「いけるか!?RUSH BALL!」MAH(vo)が挑発するかのようにオーディエンスとの距離を詰めていく。ローリングしながら踊り弾くSIN (b) SHOW-HATE (g)が初っ端から見応えのあるパフォーマンスを披露。『GUNSHOTS』では、「モンキーダンスしようぜ!」と硬質なキーボードの音色と夏気分を盛り上げるスカのリズムに合わせて、全員で腕を振り振り。

 キラーチューンが連続投下された前半が終わると「ここまではまぁいいです。100点です。けど100点とっていいのは、100点とったことがない奴だけ!お前らは去年のSiMの時に100点取ってるんだから120点めざせー!!」と喝を入れられてしまう。SiMのライブはこんなものではないと言わんばかりに、GODRiの怒濤のドラムが降り注ぐ。切り刻むような破壊力に満ちたサウンドに反して、メロディアスなサビが壮大なスケール感を生み出していく。MAHが「すわれ!大阪!」と全員を座らせると、みんなはカウントダウンで指示通りにジャンプ!泉大津が大きく揺れた瞬間だった。

 「昨年のトリから1年…帰ってこれてうれしい!」と感謝を口にしながらも、「SiMがステージに立ってる間はお前らはザコキャラにすぎない!ザコキャラどもかかってこいやー!」と相変わらず挑発的に煽りまくるMAH。最強のサークルモッシュソング『TxHxC』では小さいサークルなんかやってもしょうがないとやりなおし。すると泉大津の芝生がまる見えになるくらいの今日イチ巨大なサークルが出現。レゲエコアサウンドで激しくせめたて、完全掌握しにかかる。そして、『Blah Blah Blah』で泉大津が一体となって、歌い叫ぶと、最後は「テンポ早めてやります」と『f.a.i.t.h』で最速最強ビートの雨が降りかかる。粉塵と汗が舞い上がり、夏を惜しむかのように完全燃焼となったステージ。この夏も更なる境地に辿りついた彼らに完敗となった。


text by 岡田あさみ
photo by Yukihide"JON..."Takimoto

SET LIST

  • 01. JACK.B
  • 02. GUNSHOTS
  • 03. MAKE ME DEAD!
  • 04. KiLLiNG ME
  • 05. TxHxC
  • 06. CROWS
  • 07. Blah Blah Blah
  • 08. f.a.i.t.h
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THE BOY MEETS GIRLS [ATMC]

 とびっきり爽やかな表情で登場して、「誰も一人ぼっちにしないバンド、THE BOY MEETS GIRLSです!」と高島大輔(vo&g&key)が挨拶。ビートの効いたダンスチューン『T.R.F.』、から、“草食系”も“肉食系”も手を取り合って躍れる『動物ディスコフィーバー』を立て続けに披露。子供も手を叩いて踊っていたぐらいポップでキャッチーなメロディが響き渡ると、瞬く間に一体感が生まれ、ATMCはお祭り騒ぎのダンスホールに。高島が「みんな全員、一人残らず笑顔にしていきます!」とストレートに煽っても、全くあざとくなくキュンとするのは、本気の本気で“誰も一人ぼっちにしない”瞬間を作るためにステージに立っているからだろう。

 カラフルなシンセサウンドが効いた『きみいろクレヨン』は、子供に問いかけるようなシンプルな歌詞であり、大人に大事なことは何かを気づかせてくれるようなメッセージもあり。屈託のない幼いころの夢とまっすぐな願いのこもった楽曲をはちきれんばかりの笑顔で演奏するメンバーに、もう心躍りっぱなし。

 さらに「世界で一番カッコいいカニの歌やってもいいですか!?」と高島が切り出し、『スベスベマンジュウガニは静かに笑う』を披露。ユニークなタイトルの通り歌詞もコミカルではあるけれど、毒っけもあるソリッドなロックチューン。カニになりきった観客たちが、ピースサインを掲げてジャンプ!最後は、タオル回して皆で“ウキウキ!わいわい!”おさるダンスを踊る『おさるのジョニー』でクライマックスに。誰一人おいてけぼりにすることなく、誰もが開放的になって楽しめるポップスを連発して、ステージに清々しい余韻を残していった。


text by 大西健斗
photo by 河上良

SET LIST

  • 01. T.R.F.
  • 02. 動物ディスコフィーバー
  • 03. きみいろクレヨン
  • 04. スベスベマンジュウガニは静かに笑う
  • 05. おさるのジョニー
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THE BAWDIES

 THE BAWDIESが2年ぶりに『RUSH BALL』のステージに帰ってきた! もちろん、真夏でもトレードマークのスーツでビシッとキメて、SEにあわせて熱いシャウトをブチかますところから気合は十分。「飛び跳ねていきましょうか!」(vo&b・ROY、以下同)と突入したド頭の『45s』から、跳ねるビートとしゃがれたボーカルが絶妙に絡み合い、続く『NO WAY』『YOU GOTTA DANCE』でも徹底的にグルーヴィーなライブバンドっぷりで、オーディエンスを揺らしまくる4人。ただでさえ灼熱の泉大津を、どこまでもアゲていく恐ろしさよ…! さらには、「初めての方にもお得感満載のメドレーでつなげていきたいと思います!」と、『JUST BE COOL』〜『KEEP YOU HAPPY』〜『ROCK ME BABY』〜『JUST BE COOL』と、シームレスに切り替わっていく様はもう圧巻!

 一転、MCではちょうどライブの裏で放送中の24時間テレビのマラソンランナーをもじった茶番を繰り広げつつ(笑)『HOT DOG』へ。そして、「皆さんの声を聞かせてください!」と披露した『SING YOUR SONG』では、間奏のオーディエンスのコーラスもバッチリで、フルドライブするビートが泉大津フェニックスをダンスフロアに! ラストの『IT’S TOO LATE』まで、楽曲で、演奏で、とことん踊らせる強烈なグルーヴマシーンとして機能したTHE BAWDIES。ライブを締めくくるTAXMAN(g)による恒例の“ワッショイ”締めでも、「時間がないですよ!」と言いつつ茶々を入れまくるROYといい(笑)、終始いいムード。「僕たちは普通の男の子に戻ります(笑)」とマイクを置きステージを去った最後の最後まで(これを抜いてビジョンに映したカメラさん最高!)、ロックンロールする悦びに満ち溢れたさすがのライブだった。


text by 奥“ボウイ”昌史
photo by 田浦ボン

SET LIST

  • 01. 45s
  • 02. NO WAY
  • 03. YOU GOTTA DANCE
  • 04. "MEDLEY (JUST BE COOL〜KEEP YOU HAPPY〜 ROCK ME BABY〜JUST BE COOL)"
  • 05. HOT DOG
  • 06. SING YOUR SONG
  • 07. IT'S TOO LATE
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Saucy Dog [ATMC]

 大阪発の彼らだけに、サウンドチェックから会場はウエルカムなムード。ゆったりと3人が順にステージに現れると『煙』からスタートする。軋みを覚えるボーカルとギターで一瞬にして景色を変え、展開して疾走感と“青さ”あるメロディを響かせる。そしてそのままクラップを引き連れて次の『ロケット』へ。今度は、時に両手を大きく広げ、時に自分の頭を叩くようにして歌い上げる石原 (vo&g)の姿と、そこから広がる熱を帯びた言葉がじわじわと会場を埋め尽くしていく。

 …が、MCは紅一点のドラマー・せとの優しい声。来月行う自身初の自主企画がソールドアウトになった報告が飛び出す。…ということは、やはり彼らは間違いなく今、右肩上がり。早耳&高感度のRUSH BALL。そのATMCラインナップは今年もさすがだ。

 そしてMC後は、勢い良く『ナイトクロージング』で沸かしにかかる。キャッチーさも荒っぽさも繊細さも併せ持つ秀逸なメロディにゾクゾクさせられると、「別れの曲を…」と『グッバイ』。イントロのボーカル&ギターで再び一旦、静寂さを取り戻すが、その後4つ打ちで運ぶせつない青春ナンバーは、曲にこもった感情をあふれさせて会場に波を作る。そしてその波に飲まれた観客はシンガロングでさらに感情を高めるといった具合だ。高まったところで、今度は石原の吐露するようなMCが始まる。

 「好きでバンドをやっているんですけど、偏見とかもあったり…。それでバンドやってていいのかな?って。(中略)でも最近地方へ行くと、前は3人しかいなかった所に40人、50人と入ってくれて。今、夢の中を歩いているんだなと実感してる。皆のおかげです。次いつ会えるかわからないけど、また絶対に会えるようにと願いを込めて…」

 と、始まったのは『いつか』。独り言のような歌声から、温度感あるサビへと移り変わり、3人と観客の距離がみるみるうちに縮まり寄り添っているようにも見える。今日の出会いをきっかけに、彼らはまた“いつか”ではなく、きっと再び出会うことになるはず…。そんな予感がしたラストだった。


text by 服田昌子
photo by Yukihide"JON..."Takimoto

SET LIST

  • 01. 煙
  • 02. ロケット
  • 03. ナイトクロージング
  • 04. グッバイ
  • 05. いつか
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MIYAVI

 昨年のATMCでのClosing ActでRUSH BALL初登場となったMIYAVIが今年はメインのステージに登場! バッキバキのスラップギターから始まったステージは1曲目『What’s My Name? 2017』へ。タイトルの通り、自身の名を観客に知らしめるようにギターを弾きならすMIYAVI。サポートドラムのBOBOの心地よく刻まれるリズムが加わり、観客は体を大きく揺らす。「そんなもんかい?大阪」とニヤリと笑みを浮かべ、次々に打ち鳴らすギターはたまらなく心地良い♪ 『So On It』では、DJ Alisa Uenoの鳴らす打ち込み音に乗せ、ステージ中央と左右3つに分けられたマイクスタンドを駆け走り、高音域を歪ませたサウンドやヴィブラートを効かせたメロなど複雑な音色を次々に鳴らし、声さえも音のひとつにして歌い上げる。

 ダンサブルなリズムに肉感のあるギターの生音が絡み合う『In Crowd』、オリエンタルな空気を感じさせるセクシーな『Fire Bird』と、楽曲ごとに印象がガラリと変えていく彼のステージに夢中になって魅入るオーディエンスたち。ギターを演奏する手元が映し出されるたび、ギターキッズであろう観客が「あれ、どうなってんの?」と真剣に目を凝らす姿もMIYAVIのステージならではだろう。さらにステージは休むことなく続き、「一緒に踊れますか?」と、『Dim It』へ。ドラマチックな楽曲からは、ジャンルに捕らわれることなく常に挑戦を続ける彼らしさをひしひしと感じる。

 MCでは冗談交じりにメンバー紹介をしつつ、RUSH BALLでのメインのステージに出演できたことへ感謝の気持ちを伝える。そして、「やることはひとつ。心の限り、音を感じていきましょう!」と、『Ha!』『Strong』と続いていく。MIYAVIとBOBOとの音のぶつかり合いはギターとドラムという垣根を越え、よりマッシュアップされたサウンドへと昇華されていく。DJ Alisa Uenoも観客の盛り上がりをアジテートし、会場の空気を熱くさせる。

 ステージも後半。ギターが叫ぶように、吠えるように鳴らされる『Epic Swing』ではあまりの超絶プレイっぷりに観客からは大きな歓声が沸き立つ。そしてラスト『Day1』、ダイナミックなギターサウンドはさらに高みを見せ、MIYAVIももっともっととオーディエンスに声を煽り、共に高みを目指し、全9曲のステージを駆け抜けた。


text by 黒田奈保子
photo by 河上良

SET LIST

  • 01. What's My Name? 2017
  • 02. So On It
  • 03. In Crowd
  • 04. Fire Bird
  • 05. Dim It
  • 06. Ha!
  • 07. Strong
  • 08. Epic Swing
  • 09. Day1
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ココロオークション [ATMC]

 蝉の鳴き声がSEとして流れる中、粟子真行(vo&g)が「今この瞬間をとじこめるのがココロオークションです。忘れられない夏にしよう!」と語りかける。今年8月に発表された初のコンセプト盤のタイトルは、『夏の夜の夢』。すなわち、今日の彼らは”夏”をコンセプトに攻めてくるのが伝わってきた。

 1曲目は、そのコンセプト盤にも収録の『雨音』。爽やかな清涼剤という言葉が何だかすぐ浮かんで、客席を見てみると、みんな涼しそうに手を掲げていた。「僕らの夏が来る」という終盤の歌詞が頭に残る。

 「10年前、初めて訪れたのが『RUSH BALL』で、そんな場所に2年連続出れて誇りに思います。今までの全て、ここに繋がっていると思って音楽の全てをぶつけます」と粟子が選手宣誓のようなMCを。「音楽は自由です。守りたいものが、ここに在る」とも語り、続く2曲目は『ここに在る』へ。しっとりとした1曲目と違い、テンポ感も変わったナンバー。

 コンセプト盤からの新曲『線香花火』をはさみ、こちらもコンセプト盤に収録の『蝉時雨』がラストナンバー。粟子が丁寧に弾き語るように歌い上げてから、演奏が重なっていく。「夏が終わってしまう前に 僕らは今」という歌詞を聴くと、もう夏が終わるのかと、炎天下なのに想ってしまう。

 最後に秋のライブ告知をして「今日の続きを鳴らします」と粟子は想いを届けていたが、夏を一過性にしたくないという強い気持ちが感じ取れた。改めて、しっとりと夏を歌い上げる人たちは必要なんだと再認識できたライブ。


text by 鈴木淳史
photo by Hoshina Ogawa

SET LIST

  • 01. 雨音
  • 02. ここに在る
  • 03. 線香花火
  • 04. 蝉時雨
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10-FEET

 11月に約5年ぶりのアルバム『Fin』のリリースも発表され、この夏もフェス三昧とノリにのっている10-FEETが2年ぶりにRUSH BALLのステージに帰ってきた!ファンファーレに合わせ10-FEETタオルが高く掲げられると「よろしゅー!!」と姿をみせるメンバーたち。大歓声と手拍子の中、「今日はありがとうございました!最後の曲です!また会いましょう!」といきなりボケたおすTAKUMA(vo&g)。のけっからジャンプ&ジャンプの応酬で『VIBES BY VIBES』のまさに濃密なヴァイブスがウォーウォーのコールを呼び起こす。曲終わりも「ありがとうございました」を連呼するTAKUMAだが、わかっているファンはアンコールを求める手拍子を。「フェスなのにアンコールありがとう…」とさながらアンコールの雰囲気ではじまったのは、『ヒトリセカイ』。サビの伸びやかなTAKUMAの歌声が、秋の雰囲気を纏った青空によく映える。

 そして、続くMCを命ぜられたKOUICHI(ds)は、TAKUMAに「ええ感じの雰囲気出るやつ頼むわ」とBGMを注文(笑)。「こんなにたくさんの人にみてもらえて…」とマジメなトーンで語るバックでマイナーコードや不穏なフレーズを爪弾くTAKUMA。二人のミニコントに会場は大ウケ。そんなお笑いレベルが高いMCも10-FEETのライブの醍醐味かもしれない。「ほな曲いこか…」ひと仕事終え、安堵の表情をうかべるKOUICHI。

 続いて、NAOKI(b)の回転ベースも華麗にきまりまくる『その向こうへ』では、サークルモッシュの嵐が起こり、「お前らすごい!何がスゴイって、SiMのTシャツでダイブしてるやつがおった!俺らの曲が届いたんやな!」ロック・バンドは他のバンドTを着ている奴が盛り上がってるとうれしいと語るTAKUMA。そういうTAKUMAも今日はROTTENGRAFFTYのTシャツを着ている。バンド同士のリスペクトや音楽ファン達のアツい想いを感じられるフェスの醍醐味を感じた。

 自分らしさを見つめることの大切さを語ってくれた最新シングルの『太陽4号』では、エモーショナルな歌声で心のヒダに触れてくる。最後は「みんなでぶっ壊れましょう!」と『RIVER』『goes on』のアツい鉄板2曲へ突入!くるくる回るサークルがいたるところに出現し、『goes on』のサビのジャンプでは、泉大津の地面が確実に揺れていたような気がする。この無二の一体感を体験するとヤミツキになるのは必至。剥き出しの本音で語りかける言葉、笑い、感動、名場面しかない百戦錬磨のステージングはいつ見ても心が震える。


text by 岡田あさみ
photo by Yukihide"JON..."Takimoto

SET LIST

  • 01. VIBES BY VIBES
  • 02. ヒトリセカイ
  • 03. その向こうへ
  • 04. 太陽4号
  • 05. RIVER
  • 06. goes on
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ロザリーナ [ATMC]

 2日目、ATMCの一番手は、7/7に行われた『RUSH BALL』のスピンオフイベント『ATMC』にも出演したロザリーナ。今回もバンドを引き連れての登場だ。まずは自己紹介代わりに『Good Night Mare』をワンフレーズ。その少しハスキーで心地いいザラつきもあるボーカルに、会場全体がドキリとさせられる。続く『モウマンタイ』と合わせ、出だしのポップナンバー2連続で自然発生的にクラップも起こり、人が続々と集まりだす。どこか少年っぽさも持つ中性的な側面を持つ歌声と、小さくて人形のような透明感ある佇まいは、オーディエンスの“気になる!”を刺激しまくりのよう。

そして、MCもまた小悪魔的にキュート。RUSH BALLに出られてうれしいと語りつつも、「あっち(別ステージ)は人がすごいんでしょ? こっちに来てほしいじゃん♪」と強気なのか無邪気なのか…。が、それが全く嫌な感じがしないところがすごい。女性からもリアルに「かわい〜」の声が、大声ではなく小声で囁かられる。

少しはしゃいで素を見せてくれたところで、今度は“聴かせる”ナンバー、『長い夜』と『真夏のスノーマン』を続けて。『長い夜』のセンチメンタルな言葉を乗せたみずみずしいボーカルは聴く者を甘酸っぱい気持ちにさせ、『長い夜』の“強くなりたい”の言葉では、さわやかさと強さを漂わせる。いつの間にか観客は夢中になってリズムを取り、彼女の紡ぐ音楽に神経を集中。

そんな魅惑のアクトも最後の一曲に。幕引きはパーティムードの新曲『ドレスコード』をセレクト。アップテンポのリズムときらめく歌声に元気をもらって、全5曲は終了。短いながらもその多彩で計り知れない魅力で存分に楽しませてくれた。もっともっとビッグになりそうなロザリーナから、今後も目が離せない!


text by 服田昌子
photo by 田浦ボン

SET LIST

  • 01. GOOD NIGHT MARE
  • 02. モウマンタイ
  • 03. 長い夜
  • 04. 真夏のスノーマン
  • 05. ドレスコード
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SUPER BEAVER

 「2年前に初めて『RUSH BALL』に出させてもらって、そのときはATMCで。ホントは“いつかあっちのステージに…”って言うのは好きじゃなくて。だから、“2年後に絶対あっちに立つからね”って言ったんです。本日、有言実行でございます。バチバチに気合入ってるんでよろしくお願いします! ライブハウスから来ましたSUPER BEAVERです!! 今日この景色を見ることを望んでました、お手を拝借!」(vo・渋谷、以下同)

 2年前のATMCから、舞い戻った大舞台。広大な泉大津フェニックスに広がっていくクラップと、ゆっくりと言葉を置いていく渋谷の歌声…もう1曲目はこれしかないでしょう!という『美しい日』で始まったSUPER BEAVERのライブは、朝イチから満場のオーディエンスが跳ねる跳ねる! そして、「いちインディーズバンドがこの場所に立てることがどういうことなのか、このステージの重さは誰より分かってるつもりです」と、ここに自分たちを連れてきた“つながり”に感謝を述べつつ、「随分と小さい場所からここまでやって来ましたけど、晴れてあなたに観てもらえてます! 昨今珍しい踊れないバンドではありますが(笑)」と『証明』を。ライブハウスで20人を前にしても、100人を前にしても、泉大津で1万人を前にしても、彼らのメッセージは1人1人に向かっていく。俺に、私に、言ってくれている。大観衆の中にいてもそう感じられるこの歌を聴いていると、そんなふうに思えてくる。続く『青い春』でも、会場に咲いた何万本の手のひらが本当に壮観!

 「トップバッターを仰せつかっております。要は『RUSH BALL』の底力を見せてやれってことかと」と武者震いしつつも、「今ここにいる、今のあなたがどうすんのか!?ってことだと思います」と、過去でも未来でもなく今を重ねてきたビーバー流のメッセージを手に、『秘密』では渋谷がステージを横断。オーディエンスに声を求める。

 「信じて、真正面から向き合って、腹割って話せるヤツじゃないと、音楽はできない。ただ、あなたが大切だって思う人に、俺らは今この場所からは届けられなくて。でもね、あなたを介してなら届けられると思ってるんです。だから、あなたに向けて100%全力で歌わせてもらいます。『ありがとう』という曲です」

 沈みゆくオレンジ色の夕陽を背にしているわけでもない、満天の星空をまとっているわけでもない、バンドのつないだドラマを締めくくる1日の終わりでもない。いつ何時でも全力であなたに訴えかけてくるSUPER BEAVERの音楽は、始まったばかりの2日目に集ったオーディエンスをしっかりと貫いて、忘れられない記憶を『RUSH BALL』の歴史に焼き付けた。

 そして最後に、最高のトップバッターからこの言葉を。

 「今日ここに立てていること、音楽が好きで仕方ないあなたの前で歌えたこと。次に会うときも、胸を張って会いましょう。SUPER BEAVERでした」


text by 奥“ボウイ”昌史
photo by 河上良

SET LIST

  • 01. 美しい日
  • 02. 証明
  • 03. 青い春
  • 04. 秘密
  • 05. ありがとう
  • RUSH BALL 2017
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フレンズ [Opening Act]

 昨日よりもスタートが20分早い中、Opening Actでフレンズが登場。暑いとはいえ、とんぼが飛んでいたりと何だかノンビリしている。おかもとえみ(vo・科楽特奏隊、ex.THEラブ人間)、ひろせひろせ(vo&key・nicoten)、三浦太郎(g&cho・ex.HOLIDAYS OF SEVENTEEN)、長島涼平(b・the telephones)、SEKIGUCHI LOUIE(ds・ex.The Mirraz)と、まずはメンバー紹介ではなく、彼女たちが言うところの友達紹介を。クレジットを乗せただけで、2010年代の強者たち全員集合感のあるのがわかるだろう。結成したばかりの新人バンドだと思って呑気に昨年『RUSH BALL』の『ATMC』で観たら、おったまげたのを未だに覚えている。とにかく圧倒的な華…。元々ベーシストのおかもとのスケールデカ過ぎる歌と振る舞いが凄すぎると、その後、何かの原稿で書いた。現代のシュガーベイブであり、正統派ポップスとも。

 前置きが長くなったところで、去年よりも大きなステージに出て感じたのはサイズ感がピッタリだという事。茶髪に赤いワンピースのおかもとが映える、映える。1曲目『ビビビ』から緩やかに横ノリで楽しめるとはいえ、より夏の野外イベントを意識してか、真っ直ぐ煽っていく。続く『塩と砂糖』では『アンパンマンの歌』に合わせて、振り付けを紹介する。聴かすだけの音楽から、体感させる音楽に進化していた、この1年で。

 おかもとの伸びやかな歌声から始まる『夏のSAYにしてゴメンネ♡』は一聴するとスローナンバーだが、ひろせのラップが入ると一気にパーティーチューンに。ラストナンバー『夜にダンス』まで終始観客を躍らすが、やはり激しい縦ノリではなく緩やかな横ノリ。明らかに2010年代のいわゆる”フェスシーン”で激しい縦ノリで踊る観客たちと触れ合ってきたからこそ、辿り着いた今のフレンズ。ゆっくりした夕方や夜の大きなステージで、じっくり歌を聴かせるフレンズも観てみたいと想えた始まりの瞬間であった。


text by 鈴木淳史
photo by 田浦ボン

SET LIST

  • 01. ビビビ
  • 02. 塩と砂糖
  • 03. 夏のSAYにしてゴメンネ♡
  • 04. 夜にダンス
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RUSH BALL 2017 day2

RUSH BALL 2017 day2 始まりました!
暑い一日になりそうです。

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