今年は8月27日(土)、28日(日)の2日間に渡って、大阪の泉大津フェニックスで開催される野外ロックイベント「RUSH BALL 2016」。
これに向けたプレイベント、「RUSH BALL☆R」が5月14日(土)に大阪城野外音楽堂で開催された。天候にも恵まれて、詰めかけた大勢のロックファンの前で全9組の気鋭バンドが熱演を繰り広げた。アツアツのライブ模様をレポートしよう!
トップバッターを務めたのは、大阪発の和製轟音ギターロックバンドであるホロ。
登場するや否や、「閃光と雷鳴」、「ドローイング」といったラウドかつポップな楽曲を畳みかけていく。MCで石木政臣(Vo/Gt)は、「RUSH BALL☆R凄く楽しみにやってきました!
始めましての人には、見た目で怖いと思われるてるかもしれんけど、皆に好きになってもらいに来ました。沢山好きになって帰って下さい!」と、素直な思いを伝える。打ち鳴らされる轟音は決して暴力的ではなく、石木の伸びやかな歌声に寄り添いながらメロディックに轟き、観客のボルテージに呼応して会場を揺らしていく。
ラストは、亡くなった祖父に捧げられた渾身のバラード「心臓」を披露。素直に綴られた日本語詞が、エモーショナルに響き渡っていった。
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2番手に登場は、大阪結成の3ピース・ロックバンド、フィッシュライフ。
力強く投げかけてくるようなハヤシング(g&vo)の心揺さぶる歌声と、シンプルかつストレートに響きながらも変則的なサウンドがグイグイ胸に突き刺さり、その衝動に突き動かされるように自然とオーディエンスの拳が上がる。
「もう4年目になるんですけど、こうやって良いロケーションで広いステージで演奏することができて、やっと僕らってものが実り始めたのかなと思います!」(ハヤシング)の言葉通り、彼らのライブを初めて観た方も多かったこの日だったが、若さあふれる無骨さと瑞々しさを含んだパワーと一筋縄ではいかない癖のあるナンバーの数々で、未来へと繋がる確かな足跡を刻んでくれた。
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リハーサルから拍手喝采を浴びる人気をみせた、三番手は大阪の青春文學ロックバンド、BURNOUT SYNDROMES。
哀愁と熱量のこもった「文學少女」で、ライブをスタートさせる。ロックバンドには珍しい、ヘッドマイクをセットした石川大裕(Ba/Cho)。縦横無尽にステージを駆け回りながらベースを操り、熊谷和海(Vo&Gt)の力強い歌声にリリックを重ねていく。続けざまに「エアギターガール」をかき鳴らして、一気に観客と一体感を生み出していった。
石川が独特のペースでMCを展開しながら、念願だったRUSH BALL☆Rのステージに立てた喜びを語り、メジャーデビュー曲「FLY HIGH!!」を披露。軽快なナンバーから一転して、ラストはパーソナルな心情が綴られた「こどものじかん」をエモーショナルに歌い上げる。観客もじっと耳を傾け、最後まで文學的な歌詞の世界に思いを馳せた。
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まだまだ続く炎天の下、ひとときのオアシスのように心地よく心に沁みる楽曲を届けてくれたのが、mol-74(モルカルマイナスナナジュウヨン)。
武市 和希(vo&g&key)の浮遊感もある澄んだファルセットボーカル、躍動感がありながらどっしりとした安定感を持つ演奏力、さらには心にゆとりをももたらしてくれるようなほどよい隙間を活かしたサウンドが、聴き手に思い思いの情景を描かせていく。とても繊細で美しい…。
「僕らにとって初めての野外ですが、やっぱり気持ちがいいですね」(武市)。時折吹く春風を肌で感じながら、彼らと同じ気持ちでライブを堪能していたオーディエンスも多かっただろう。神秘的な雰囲気に包まれながら優しさと儚さを漂わせる素晴らしいアクトだった。
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炎天下のステージに、埼玉から紅一点となるAmelieが登場。
ポップだけど、どこか切なげな「手紙」、鋭くもキャッチーなフレーズが頭を駆け巡る「メグリメグル」と立て続けにぶつける。
今度は、ギターからピアノに変えたmick (Vo/Gt/Piano)が、「みんなの人生はもちろん、自分たちの人生を変えるつもりでやってきました!」と気概を露わにして、モヤモヤした気持ちを、キラキラした希望に変えてくれる楽曲「グッバイハロー」を披露。mickの「心の底から強く信じていれば、願いは叶う!」という言葉から、繰り出されたのは「Hony」。ハスキーな歌声で観客を引き込んでいき、曲中に「今度はでっかい方のRUSH BALLで、いつか会えるって信じています!」と、高らかに宣言するmickの姿は痛快。
ラストの「ヒーロー」に至るまで、等身大の歌詞が綴られたロックチューンを武器に、野音を揺らし続けて堂々たるステージを終えた。
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次なるバンドは、本日の出演者たちからも雨男だと話されていた粟子 真行(vo&g)擁するココロオークション!
「晴れてよかったね(笑)」(栗子)と自虐的に語りながらも次々披露されるナンバーは涼しくなってきたこの日の野外にピッタリの瑞々しい楽曲群だ。現実味を帯びたストーリー性をもつ歌詞、キャッチーでありながらナチュラルに響く耳なじみの良いメロディ、そしてダイナミズムが備わったバンドサウンドに抜群のグルーヴ感。何より、栗子の繊細かつ芯のある耳障りの良い歌声に聴き惚れる。
野外という広い会場にも関わらず、後方にいても声が歌詞がきちんと胸に届く。この歌力には脱帽だ。4月にはメジャーデビューも果たした彼らの、今後に期待せずにはいられないポテンシャルの高さが感じられるステージだった。
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リハーサルから会場を沸かせ、満を持して忘れらんねえよが登場。
勢いよくステージの中央で、メンバーがお決まりの"ジャンピング・セックス"のポーズを決めると、すかさずコール&レスポンスを巻き起こして、早急なナンバー「寝てらんねえよ」を仕掛けた。さらに、大先輩・フラワーカンパニーズの「真冬の盆踊り」から"よさほい"が拝借して鳴らされ、観客もお手上げ状態でのっけから笑顔で踊り咲く!
そんな熱気ムンムンの会場で柴田隆浩(Vo/Gt)は喉が渇いたらしく、観客の頭上をサーフしながら、ビールを買いに行くという"ロックンロール小劇場"まで繰り広げた。まさに「ばかばっか」な野音はお祭り騒ぎだ!
勢いをそのままに、柴田は「あんたらの一番になりたい」と告げ、並々ならぬ熱量をグッドメロディに乗せて届けていく。最後まで真っすぐ、エモーショナルなライブをみせつけてステージを後にした。
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「〝忘れらんねえよ“が楽しすぎて疲れてませんかー? 素晴らしき今日を始めよう!」(千野隆尋(vo)/以下同)。いよいよ大詰め、8番手のGOOD ON THE REELがステージへ。
どこまでも広がる伸びやかな千野の温度を感じるボーカルと、繊細かつ強靭なグルーヴ感がこれまた気持ちいい。自然と手拍子が巻き起こる会場で抜群の安定感を誇るバンドアンサンブルが一音一音をしっかりと聴かせてくれる。
「僕らこの場所に立つの3回目かな。過去2回は雨で…、でも今日はこんなに素晴らしい景色が観られて最高です!」抑揚の効いたナンバーの数々にレスポンスする観客たちの姿。一体感が生まれるその光景は壮観の一言だ。
「生きてることが当たり前になってて、実感することってなかなか無いんだよね。でも僕はステージに立つと実感するんだ」との言葉に嘘はなし。ライブでしか味わえないリアルな瞬間と感情を全身全霊で表現してくれたステージングが、見事この日のラストを飾る感覚ピエロへとバトンを繋いだ。
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すっかりと暗くなった野音のステージに、今年のトリを務める感覚ピエロが登場。
早速、6月1日にリリースされるミニアルバム「不可能可能化」からリード曲の「会心劇未来」、そして、アイロニーたっぷりなポップチューン「Japanese-Pop-Music」が畳みかけられると、待っていましたと言わんばかりに観客の興奮が大爆発!
さらに、横山直弘(Vo)の艶やかな裏声が効いた、夜にぴったりのナンバー「メリーさん」でダンスホールと化す。今度は、横山が出番前に大阪城公園を散歩していたところ、遭遇したというラブラブなカップルに向けて「リア充大爆発」がぶつけられた。そのまま最後は、横山が「ボルト外して遊んでみませんか?」と誘い、「O・P・P・A・I」を披露。特大のコール&レスポンスを巻き起こし、胸を打つビートで会場を激しく揺らした。
アンコールでは、「あなたたちと四つ打ちミュージックで踊って帰りたい!」と横山が投げかけ、「A-Han!!」で観客と踊り尽くす大団円を迎えた。
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